一人ひとりの体質や体調に合わせた、アドバンス痩身プログラム。
健康的に体重を減らしたい
正しい知識と研究データに基づいたケアを受けたい
個別の体質や体調に合わせたサポートが欲しい
これらに対応した、メディカルなアプローチを提供します。
アドバンス痩身プログラムとは
先ずは基本的な話ですが、体重増加の原因を突き詰めると、消費カロリー<摂取カロリーに集約されます。質量保存の法則とよく説明してます。
健康的なダイエットとは、消費カロリーを健康的に増やし、摂取カロリーを無理なく減らす事と言い換えることが可能です。
とはいえ、痩せやすい人太りやすい人というのは存在しますし、体重が重い人が急に運動をすると心肺や関節に多大な負担がかかります。
また、体重の個人差に関しては、5割前後は遺伝要因と考えられており、一概に本人の怠惰だけが原因ではない場合も混在しています。
適切な運動、基礎代謝の底上げ、食事バランスの変化、生活リズムの見直し、単糖類等の摂取制限があらゆるボディメイクの基本とはなります。
ただ、それだけで健康的な目標にたどり着かない人の一助と位置付けられているものが、このアドバンス痩身プログラムです。
※これはあくまでも生活習慣病が無い人の話になります(二次性肥満等、病気に伴うものの場合は保険治療の適応になる可能性が高いので、まずは近くの内科さんに相談を:細かくは下記)
治療内容
生活習慣や、現在の状態から一番適していると考えられるものをお勧めさせていただきます。
どういう人向け? | 薬の種類 | 作用機序 | その副作用 | ||
油物が多い人向け | オルリガル | 食べ物の中の油を分解する酵素を一部阻害することで吸収を抑える | 油が吸収されないのでその副作用に注意。脂溶性ビタミンが理論上吸収量が落ちる可能性がある。 | ||
---|---|---|---|---|---|
糖質が多い人向け | SGLT-2阻害薬 | 腎臓で一旦尿の中に出た糖分を再度血管の中に吸収するのを抑える | 尿の中の糖分が上がるので、感染症や頻尿・脱水に注意。脱水に伴う便秘の可能性がある。 | ||
食欲自体を抑えたい人向け (現在当院では扱い無し) | GLP-1、GIP/GLP-1受容体作動薬 | 食欲自体を抑え、胃の中身の排出を遅らせて満腹感を長引かせます。 飲酒量も抑えてくれるとされています。 | 蠕動運動を抑えるので、厳格なタイミングが必要な薬剤内服時や、逆流性食道炎がある人は注意 |
どういう人に向いているか
かなり厳格な食事制限や運動をしている人には向いていません。
むしろそれだけ頑張れるならおそらく自力で痩せることが可能ですし、逆に低血糖のリスクが出てきます。
上記を見てもわかる通り、脂質や糖質をバランスよく抑え、腹8分目にしている人は薬自体が不要だからです。
仕事や生活環境など、どうしても痩せづらい人向けの治療が、アドバンス瘦身プログラムです。
ただ、こちらの薬も抑えるだけであって、暴飲暴食をすれば普通に太ります(脂質を3割カットしても倍食べたら結局+に)。
あくまでも本人の努力の補助というイメージが大事です。
基本的には「腹八分目」、「よく噛む」、「20分以上かけて食事する」、「身体活動量を増やす」がベースになります。
副作用
SGLT-2阻害薬の副作用 | 1%以上 | 0.1%以上 1%未満 |
---|---|---|
感染症 | 膣カンジダ症(9.2%) 尿路感染(4.4%) | |
代謝・栄養 | なし | 体液量減少・ケトーシス・多飲 |
消化器 | なし | 便秘、口渇、下痢、腹痛、悪心、嘔吐 |
筋・骨格系 | なし | 背部痛、筋痙縮 |
皮膚 | なし | 発疹 |
腎臓 | なし | 頻尿、尿量増加 |
精神・神経系 | なし | 頭痛、振戦、めまい |
生殖器 | なし | 陰部そう痒症、外陰腟不快感 |
循環器 | なし | 高血圧、低血圧 |
その他 | なし | 倦怠感、無力症、体重減少、異常感 |
オルリガルの副作用 | 1%以上 | 0.1%以上 1%未満 |
消化器 | 便意切迫、脂肪便、放屁増加、油様便 | 腹痛、下痢、直腸不快感、軟便 |
皮膚 | なし | 発疹、そう痒症 |
精神・神経系 | 頭痛 | めまい |
代謝・栄養 | なし | 低血糖(糖尿病患者での併用時) |
肝臓 | なし | 肝機能障害 |
腎臓 | なし | 高尿酸血症 |
その他 | なし | 疲労感、倦怠感 |
費用
治療開始前に採血が必要です。採血費用は2000円です。
ただ、二次性肥満の除外のための採血が必要な方は追加料金がかかることがあります。
オルリガル:1日3Capの90個セット(1ヶ月)で15000円
SGLTー2阻害薬:30個(1ヶ月)で15000
オルリガル+SGLTー2阻害薬:上記セットで27000円となります。
※3か月分処方の方は1回分の一般採血費用は無料になります。
薬自体のちょっと細かい話
1. オルリスタット
① 概要
オルリスタットは、脂肪の吸収を抑制することで体重減少を促す肥満治療薬です。食事中の脂肪分の最大36%の吸収を阻害し、未消化のまま体外に排出します。
② 作用機序と体重減少効果
膵リパーゼという酵素を阻害し、脂肪の分解と吸収を抑制します。これにより、摂取カロリーが減少し、体重減少が期待できます。
臨床試験では、オルリスタットの使用により、プラセボ群と比較して有意な体重減少が報告されています。
オルリスタットは、1回120mgを1日3回、食事中または食後1時間以内に服用することが推奨されています。この用量で、プラセボと比較して有意な体重減少効果が認められています。
一方、60mgを1日3回の低用量(アライ:大正製薬)では、体重減少効果はあるものの、120mg/日の用量ほどの効果は示されていません。
24週間の研究で、120mg群では平均して初期体重の9.8%の減少が報告され、10%以上の体重減少を達成した被験者の割合は37%であり、プラセボ群の19%を上回りました。
③ 内服時の注意点や副作用、対処法
主な副作用として、消化器症状(油性便、頻回な便意、脂肪便など)が挙げられます。これらは高脂肪食を摂取した際に起こりやすく、脂肪分の少ない食事を心掛けることで軽減できます。
また、理論上脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収が低下する可能性があるため、必要に応じてビタミンサプリメントの併用が推奨されます。 ただ実際に起きたという報告はなく、最大容量を半年間飲み続けてもビタミン量に採血上変化はありませんでした。ただビタミンAはかなり肝臓で蓄積されるので、低値として出ることはそうそう現代社会ではありません。
また、半年間内服しても血中でオリルスタットは検出不可能なレベルでした。ようは機序として体内に作用するものではないのが理由です。
2. SGLT-2阻害薬
① 概要
SGLT-2阻害薬は、腎臓でのブドウ糖の再吸収を抑制し、尿中への排泄を促すことで血糖値を下げる糖尿病治療薬です。また、カロリー排泄により体重減少効果も期待できます。
※余談:糖尿病の名前:再吸収の限界を超えるほど血糖値が上がった結果、尿から糖が出るので糖尿病という名前が付いた経緯があります(ただ実際の糖尿病は尿に糖が出ることは診断の必須項目ではありません。
② 作用機序と体重減少効果
SGLT-2阻害薬は、腎臓の近位尿細管に存在するSGLT-2(ナトリウム-グルコース共輸送体2)を阻害し、尿中へのグルコース排泄を促進します。
これにより、1日あたり約75gのグルコース(約300kcal)が尿中に排泄され、血糖値の低下と体重減少がもたらされます。 量的にはだいたいおにぎり2個くらいのイメージが近いです。
③ 内服時の注意点や副作用、対処法
主な副作用として、尿路感染症や性器感染症、脱水、低血圧などが報告されています。
尿に糖を捨てるということは、そこに菌が繁殖しやすくなります。なのであまり入浴できないような人や、膀胱炎を繰り返しているような人、もともと感染しやすい人には向いていません(ただ実際は膀胱炎に関しては頻度は不変であったという報告があります)。
尿に糖を捨てるということで、浸透圧も上がり、その分利尿作用がでます(塩分自体も排出されます)。むくみも取れますが、高齢者や仕事柄水が飲みにくいなど脱水になりやすい人も注意が必要です。
また、大きな手術をするときは絶食やストレスにより、ケトアシドーシスのリスクが上がります(血糖値上昇のないケトアシドーシスが3割に出ると言われています)ので、大きな手術をする際は3日は休薬が必要です。また主治医にその旨を伝えておくことが大事です。ただ糖尿病を有していない患者で発生したのは3万人中1人しかいなかったという論文もありますので普通は心配しなくてよい程度の確率です。
また、腎機能が低下している方は注意が必要との記載はありますが、慢性腎臓病の進行を抑制するという報告もあるので、あくまでも体調不良の方は注意しましょうというイメージでよいと思います。
2022年の論文ではむしろ糖尿病の有無にかかわらず腎臓や心臓を守ってくれる作用があるとされています。
3. GLP-1受容体作動薬
① 概要
GLP-1受容体作動薬は、インクレチンと呼ばれるホルモンの一種であるGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の作用を模倣し、血糖値の調節や食欲抑制を行う糖尿病治療薬です。
体重減少効果も期待されています。
② 作用機序と体重減少効果
GLP-1受容体作動薬は、膵臓のβ細胞に作用してインスリン分泌を促進し、α細胞でのグルカゴン分泌を抑制します。グルカゴンは空腹感の原因となるホルモンです。
また、胃の排出を遅らせ、満腹感を増強することで食欲を抑制します。
これらの作用により、血糖値の改善と体重減少が期待できます。
臨床試験では、GLP-1受容体作動薬の投与により、プラセボ群と比較して有意な体重減少が報告されています(セマグルチド:オゼンピック:では2.4mg/週で13%の体重減少と内臓脂肪面積の減少<日医大医会誌 2024; 20(4)>)。
③ 内服時の注意点や副作用、対処法
主な副作用として、消化器症状(吐き気、嘔吐、下痢、便秘など)が報告されていますが、これらの症状は、投与初期や濃度変化時のような、容量を変えた直後に現れやすいです。一般的に徐々に軽減することが多いです。
症状が持続する場合や重篤な場合は、むしろたまたまその時に起きた病気の可能性も否定できませんので医師に相談してください(肝機能障害等はGLP-1受容体作動薬よりはサプリに伴うものの確率のほうが高いですので、サプリなど服用している場合は主治医に相談してください)。
膵炎自体も注意とは言われてはいますが、現在プラセボと比較して明らかな有意差は認められていません。とはいえ膵炎を抑制する効果もありませんので、変な症状がある場合は医師に相談することをお勧めします。
4. チルゼパチド(マンジャロ・ゼップバウンド)持続性GIP/GLP-1受容体作動薬
① 概要
チルゼパチド(マンジャロ・ゼップバウンド)は、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)とGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の二重受容体作動薬で、2型糖尿病治療薬として開発されました。
血糖降下作用とともに、体重減少効果も期待されています。
② 作用機序と体重減少効果
GIP受容体とGLP-1受容体の両方に作用し、インスリン分泌の促進、グルカゴン分泌の抑制、胃排出の遅延、食欲抑制などの効果をもたらします。基本的にはGLP-1受容体作動薬と似たようなものと思って大きな間違いはありません。
ただ、GIPによる臨床試験では、マンジャロの投与により、セマグルチド(GLP-1受容体作動薬)よりも有意な体重減少が報告されています。
③保険適応のゼップバウンドについて
- BMIが27以上で、肥満に関連する健康障害(高血圧、脂質異常症、2型糖尿病など)を2つ以上有する
- BMIが35以上である
- 処方は大学病院や総合病院等比較的大きめな基幹病院に限られる。
と、マンジャロより高容量ということもあってかなり厳格に処方基準は決められています。アメリカでは非正規品を未承認で販売するなど問題となっており、注意が必要です。適応のある方は専門医に相談するのが確実です。
二次性肥満について+α
二次性肥満(症候性肥満)および食行動異常についての考え方
1) 内分泌性肥満
① Cushing 症候群
② 甲状腺機能低下症
③ 末端肥大症や成長ホルモン低下症
④ インスリノーマ
⑤ 性腺機能低下症
⑥ Stein-Leventhal 症候群
2) 遺伝性肥満(先天異常症候群)
① Bardet-Biedl 症候群
② Prader-Willi 症候群
3) 視床下部・脳障害性肥満
① 視床下部腫瘍
② 下垂体腺腫
③ Frohlich症候群
④ empty sella 症候群
4) 薬物による肥満
① 向精神薬
② 副腎皮質ホルモン
食行動異常
① 摂食異常(認知性摂食障害・問食、ストレス誘発性食行動)
② 摂食行動異常(過食・過食症・夜間大食)
③ 偏食・早食い・積食の欠食
注意点
※当院で使用する内服薬は、海外からの個人輸入による未承認医薬品です。
国内で承認されている同一成分の医薬品が存在するものもありますが、当院では個人輸入品を使用しております。
個人輸入医薬品は医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
ご使用にあたっては医師が責任を持って管理いたしますが、個人輸入であることによりリスク管理が国内承認薬と異なる場合があります。
▶︎ 厚生労働省