バイアグラの開発の歴史とPDE5阻害の作用機序
バイアグラ(シルデナフィル)は、狭心症の治療薬として研究されていましたが、その過程で勃起を促進する効果が発見され、現在ED治療薬として承認されるに至りました。
この薬はPDE5(ホスホジエステラーゼ5)を阻害することで、血管平滑筋の弛緩を促し、陰茎の血流を増加させることで勃起を助けます(細かくは下記。
ご希望の方はお気軽にご相談下さい。
薬剤一覧
項目 | バイアグラ (シルデナフィル) | レビトラ (バルデナフィル) | シアリス (タダラフィル) |
---|---|---|---|
効果発現時間 | 約30〜60分後 | 約15〜30分後 | 約1〜2時間後 |
持続時間 | 約4〜6時間 | 約5〜10時間 | 約24〜36時間 |
効果の強さ | しっかり | しっかり | ややマイルド |
食事の影響 | 受けやすい | やや受ける | ほぼ受けない |
副作用 | ほてり、頭痛、視覚異常 | ほてり、頭痛、視覚異常 | ほてり、頭痛、筋肉痛 |
作用機序 | PDE5阻害による血流改善 | PDE5阻害 (選択性が高い) | PDE5阻害 (作用時間が長い) |
使用上の注意 | 心疾患・硝酸剤使用者は禁忌 | 心疾患・QT延長症候群は禁忌 グレープフルーツの影響が強め | 長時間作用のため、副作用の既往がある人等は注意 |
選び方のポイント
- 即効性を重視するなら → レビトラ(バルデナフィル)
- 食事の影響を避けたいなら → シアリス(タダラフィル)
- スタンダードで使いやすいものを試したいなら → バイアグラ(シルデナフィル)
- 長時間の持続を希望するなら → シアリス(タダラフィル)
その他、ウデナフィルやアバナフィル、ミロデナフィル、ロデナフィルなどもありますが、国内では未承認です。
治療料金
※工事中
注意点
※人にあげたりすると医薬品医療機器等法違反になりますのでNG(処方された湿布をあげるのも実はNG。
※硝酸剤を使用中の方は服用不可(似たような作用なので、効果がかぶって急激な血圧低下のリスク)。
※低血圧・高血圧、心疾患のある方は相談の上、可能であっても慎重に使用を。
※肝障害・腎障害がある場合は投与量を調整。
※過剰摂取は持続勃起症のリスクあり。用法容量を守りましょう。
※グレープフルーツの摂取も注意(以下。
副作用
副作用の分類 | バイアグラ (シルデナフィル) | レビトラ (バルデナフィル) | シアリス (タダラフィル) |
---|---|---|---|
1%以上 | |||
循環器系 | 血管拡張(ほてり、潮紅)(5.78%) | ほてり(10.6%) | 潮紅 |
精神・神経系 | 頭痛(3.87%) | 頭痛(11.7%) | 頭痛 |
消化器系 | 消化不良 | なし | 消化不良 |
筋骨格系 | なし | 背部痛、筋肉痛 | 背部痛、筋痛、四肢痛 |
呼吸器系 | 鼻炎 | 鼻閉 | 鼻閉 |
0.1%以上 1%未満 | |||
循環器系 | 動悸、胸痛、頻脈、高血圧 | 頻脈、高血圧 | 動悸、ほてり、血管拡張 |
感覚器系 | 霧視、眼の充血、眼の異常感 | 眼痛、霧視、結膜充血、視野欠損 | 霧視、眼の充血、眼痛、視野欠損 |
消化器系 | 胃腸障害、口渇、腹痛 | 悪心、胃腸障害、腹痛 | 上腹部痛、胃食道逆流性疾患、下痢、胃炎、嘔吐 |
肝臓 | AST増加 | γ-GTP増加 | 肝機能異常(AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇含む) |
腎臓 | なし | なし | 腎機能障害、尿酸値上昇 |
筋骨格系 | 関節痛、筋肉痛 | 関節痛、筋痙攣、背部痛 | 関節痛、筋痙攣、筋骨格痛 |
精神・神経系 | めまい、睡眠障害 | めまい、傾眠、感覚鈍麻 | めまい、片頭痛、不安 |
泌尿・生殖器系 | なし | 勃起増強、自発陰茎勃起 | 排尿困難、勃起増強、意図しない勃起 |
呼吸器系 | 鼻閉、副鼻腔うっ血 | 鼻炎、呼吸困難、鼻出血 | 鼻炎、副鼻腔うっ血 |
皮膚 | 発疹、多汗、紅斑 | 発疹、紅斑 | 発疹、多汗症 |
血液 | 貧血、血小板減少症、白血球減少症 | なし | なし |
その他 | 倦怠感、体重増加、インフルエンザ症候群 | CK増加、疼痛、発熱 | 倦怠感、疼痛、熱感 |
各添付文書参照
基本的には一時的な副作用で、時間経過で改善します。
※潮紅:顔面に赤みがさすこと
グレープフルーツに注意
小腸や肝臓には薬を代謝する酵素の1つであるCYP3A4というものがあります。
グレープフルーツ中に含まれるフラノクマリン類(ベルガモチン,ジヒドロキシベルガモチン)はCYP3A4を不可逆的に阻害するため、グレープフルーツジュースと医薬品を併用した場合は、小腸におけるその医薬品の代謝が阻害され、循環血中に移行する薬物量が多くなり、想定外に血中濃度が上昇することが危惧されます。
ほぼ1日くらいはその効果は続くといわれますので、グレープフルーツを摂取した後は2日くらいは注意するのが無難でしょう。
追加でいうとセントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)は、薬物代謝酵素であるチトクロームP450、特にサブタイプであるCYP3A4及びCYP1A2が誘導されることが知られています(厚生労働省)。
摂取後はしばらく医薬品の効果が落ちることがありますので、海外のハーブ等を飲まれている方は注意してみてください。
ちょっと細かいPDE5阻害薬の機序
基本的には陰茎は風船だと思ってもらえば大丈夫です。ただ、流入する動脈(らせん動脈)と、流出する静脈(白膜下静脈叢)のバランスによって、大きさが規定されます。
入る動脈血>出る静脈血、となれば風船は膨らみ、逆になるとしぼみます。
PDE5阻害薬は動脈血を減らそうとする平滑筋に働き、その力を緩めます。その結果、動脈血が増え、風船が膨らみます。
また風船が膨らむと、その圧力で静脈側が押しつぶされて(血圧は動脈>>静脈です)、流出も抑えられます。動脈血は圧力が強いので流入はします。
その結果風船が膨らむのがこの薬の作用機序となっています。

PDEのかなり細かい話
PDEにもいろいろあり。PDE5だけでなく、多少はほかのものにも影響がでたりします。その程度が強い人では、上記に記載している副作用として出ることがあります。
バルデナフィルは選択性が高いので、そのような別PDEによる副作用は他の薬剤よりは比較的抑えられると考えられています。
ただ、相性もありますので、結局は試してみないとはわかりません。
PDE | 主な分布組織 | 機能的意義 |
---|---|---|
PDE1 | 脳、心臓、血管平滑筋 | cAMPおよびcGMPの分解を介して、心筋および血管平滑筋の収縮性を調節 |
PDE2 | 心臓、脳、血管平滑筋 | cAMPおよびcGMPの分解を介して、心筋および血管平滑筋の機能を調節 |
PDE3 | 心臓、血管平滑筋、血小板 | cAMPの分解を介して、心筋収縮性、血管拡張、および血小板凝集を調節 |
PDE4 | 炎症細胞、肺、脳 | cAMPの分解を介して、炎症反応および免疫応答を調節 |
PDE5 | 陰茎海綿体、血管平滑筋、肺 | cGMPの分解を介して、血管拡張および勃起機能を調節 |
PDE6 | 網膜 | cGMPの分解を介して、視覚伝達を調節 |
PDE7 | 骨格筋、T細胞 | cAMPの分解を介して、免疫応答および筋肉機能を調節 |
PDE8 | 睾丸、脳 | cAMPの分解を介して、精子形成および神経機能を調節 |
PDE9 | 脳、脾臓、小腸 | cGMPの高い親和性を持ち、神経系の機能に関与する可能性あり |
PDE10 | 脳(特に線条体) | cAMPおよびcGMPの分解を介して、神経伝達および運動機能を調節 |
PDE11 | 前立腺、精巣、骨格筋 | cAMPおよびcGMPの分解を介して、精子形成および筋肉機能を調節 |
注意点
※当院で使用する内服薬は、海外からの個人輸入による未承認医薬品です。
国内で承認されている同一成分の医薬品が存在するものもありますが、当院では個人輸入品を使用しております。
個人輸入医薬品は医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
ご使用にあたっては医師が責任を持って管理いたしますが、個人輸入であることによりリスク管理が国内承認薬と異なる場合があります。
▶︎ 厚生労働省