外側のスキンケアだけでは届きにくいお悩みに
内服治療で“根本”からのケアを。
まずはお気軽にご相談ください。
トランサミン(トラネキサム酸)とシナール(ビタミンC)との関わり
- シミやくすみの治療では「原因となるメラニンをどれだけ減らせるか」が鍵です。そこで注目されているのが、止血薬として長年用いられてきた トラネキサム酸(商品名:トランサミン) と、抗酸化ビタミンである ビタミン C(配合剤の代表例:シナール) です。作用点が異なるため、両者を組み合わせることで多角的に美白をサポートできます。
- 【トラネキサム酸のポイント】
メラニン生成をブロック:紫外線や摩擦で増えるプラスミンを抑え、メラノサイト刺激物質(α-MSH、アラキドン酸代謝産物など)を減らします。 - 【ビタミン C(シナール)のポイント】
メラニンの酸化を還元:メラニン前駆体ドーパキノンを還元して黒色メラニンへの変換を抑制。
強力な抗酸化作用:紫外線で発生する活性酸素を中和し、炎症連鎖をストップ。
コラーゲン合成を促進:真皮でコラーゲン架橋を助け、ハリを保つ。
つまり - トラネキサム酸 は「メラニン刺激を止める」さきまわり型。
- ビタミン C は「酸化を鎮め、コラーゲンを守る」守備特化型。
- 併用することで、シミ・くすみを多面的にコントロールしやすくなります。
肝斑について
肝斑(かんぱん)ってどんなシミ?
ひと言でいうと「ほほ骨あたりに左右そろってぼんやり出る、やわらかい茶色のシミ」 です。
薄いファンデーションでも隠れにくく、くすみのように見えるのが特徴です。
※ほかの部位にも出ることはあります。

30~50歳代の女性に生じやすいですが、男性例もあります。
※顔の左右で非対称で、シミ自体の輪郭がはっきりしていたり、濃い色の物は老人性色素斑など別のものが疑われます。
原因としては、遺伝的なもの、紫外線、女性ホルモンなどがあります。
(細かくはUVによるメラノサイトへの直接作用とサイトカインによる間接作用の2つ、エストロゲンによる色素産生の亢進(MITF↑
そのため妊娠中~閉経後まで増悪寛解を繰り返すことがあるとされています。
肝斑のケア
基本的には刺激が悪化の原因になります。そのためレーザー治療は見極めが難しいとされています(シミを消すこと自体が刺激になるため。
1、紫外線対策がベース
- SPF50+PA++++の日焼け止めを出来れば365日
- 帽子・日傘で物理的にカット
2、摩擦レス習慣
- タオルはポンポンと押さえるだけ
- こすらない洗顔(泡で押すように)
3、内服治療
- トラネキサム酸 250~500mg×3回/日:メラニンを作るメラノサイトに直接働きかける
- ビタミンC等の抗酸化サポート
4、外用・機器治療
- ハイドロキノン、トレチノイン、美白ローション、レーザートーニング、IPL等
当院での治療
いずれにしてもまずは、生活改善、紫外線予防であり、それに加えて最初は内服からが一番無難な選択肢と考えられています。

トランサミンの注意点
元々は「止血剤」として開発された薬で、血を溶かす酵素「プラスミン」を抑制し、止血効果を発揮しています。
東アジア(特に日本)発祥の薬で、近年は国際的にも認知されてきており、一般的に肝斑(かんぱん)や炎症後色素沈着の治療に使用されています。
メラニン生成を促すプラスミンの働きを抑制 → 色素沈着を予防。抗炎症作用や血管透過性抑制も報告され、肌への炎症を抑えるという作用です。
ただ、止血効果があるため、一部の方には血栓症(血管が詰まる)リスクがわずかに増えると考えらえています。
そのため既往歴(脳梗塞・心筋梗塞・血栓症)がある方やピル使用者、妊婦には禁忌、とされています。
当院では内服前に血栓傾向がないか採血でチェックさせていただいております。
治療中・後の注意点
- 再発しやすい … 改善しても紫外線や摩擦が続けば戻ることも。
- 短期決戦は難しい … 平均して 3〜6 か月かけて少しずつ薄くするイメージ。
- そこまで長期に服用はしない…一般的に上記と同じく3~6か月でいったん休薬することが多いです。
- 普段と違う症状(四肢痛・息切れ・片眼視力低下など)を感じたら…即受診+採血が必須となります(原因が何であれ)。
肝斑のちょっと詳しい話
•メラノサイトの増加、大型化。基底層ー表皮全層に及ぶメラニン増加が見られる。
•紫外線による直接的な刺激とは別に、光老化に伴う症状としてもあるという説。
•肝斑部分は角層が薄く、刺激に弱く、水分量も少なめ。なので、マッサージを含むあらゆる摩擦や刺激はNG。
•肝斑部分は凹凸が少ないのでクレンジングもそこまでゴシゴシしなくてよい。
•化粧水などを塗る時も、もみこみではなくて、手のひら全体で抑えるくらいでOK
•紅斑に加えヒリヒリするような炎症を自覚する肝斑という、Subclinical(潜在性)な炎症がある場合がある。基本的には炎症を悪くしないために低刺激などを徹底。
•アイメイク用クレンジングオイルで増悪することとかもあるのでいずれにしても注意。
•マスクで悪化することも。擦れるのが原因。対策としては、大きめ、肌触り、定期的なサイズ変更による同部位刺激の可能性の低減などがある。